都心に漂う新たな鼓動:東京23区「5つのサッカー聖地候補地」

なぜ、今23区内に「聖地」が必要か

都市型の専用スタジアムは、観客動員や地域活性化に直結すると言われている。しかし東京都23区内には現在、Jリーグ公式戦を長期的に開催できるサッカー専用スタジアムが存在しない。

そのためファン体験や地域貢献の観点から、物足りなさを感じているサポーターも多いだろう。だからこそ23区に新たな聖地が生まれる意義は大きい。

本記事では、23区内で実現が期待されるサッカー専用スタジアムの候補地を取り上げ、その可能性を考察していく。


各候補地のポテンシャル強化

新小岩駅周辺

新小岩学び交流館横の公園区域と、既存の総合運動場エリアを活用する構想。JR総武線「新小岩駅」から徒歩10分圏内で、都心からのアクセスは抜群だ。

さらに、葛飾区は「キャプテン翼」の作者・高橋陽一氏の出身地でもあり、“サッカー文化の象徴”として街づくりを進めてきた。行政も小規模グラウンドの整備などに積極的で、協力体制は期待できる。

一方で、現実的な収容規模は「1.5万人程度」となる見込みだ。J2・J3クラブの本拠地としては十分だが、J1基準を満たすには課題が残る。それでも、グッズショップやカフェを併設すれば“翼スタジアム”として全国からの観光資源になり得る。

ただし、公園区域との共存や周辺住民の理解が不可欠であり、調整次第で計画の成否が分かれるだろう。


渋谷区スポーツセンター周辺/NHK裏・代々木公園北西部区域(渋谷区)

渋谷・原宿・代々木に隣接した山手線内のエリア。アクセス性が極めて高く、周辺は商業施設が密集しているため「試合+ショッピング+観光」といった都市型観戦スタイルが可能になる。さらに、明治神宮や表参道と組み合わせれば、海外観光客の集客効果も期待できる。

補足としては、既存施設の跡地利用や地下空間の活用など、都市開発と連携することで設置のチャンスが見えてくる。特に代々木第一体育館の老朽化や再整備の動きと絡めた再開発プランと一体化できれば、現実味が増すだろう。

一方で最大の課題は“景観・騒音”問題だ。文化庁や地元住民からの反発を避けるには、環境配慮や協議のプロセスが欠かせない。調整をクリアできるかどうかが、この候補地の成否を左右する。。


平和の森公園(中野区)

候補地は平和の森公園南側にある多目的運動広場エリア。中野駅から徒歩圏内で、住宅街に隣接している点が特徴だ。そのため「地域密着型スタジアム」としては最適の立地といえる。区民利用施設も多く、教育や生涯スポーツとの連動がしやすい。また中野区は再開発が活発に進んでおり、まちづくりの一環としてスポーツ施設を導入する価値は高い。

補足としては、防音壁の設置や芝生の活用によって“自然との調和”を図れば、地元住民からの支持を得やすい。Jリーグ下部クラブや女子クラブの本拠地として機能させれば、地域に根差した成長モデルを実現できるだろう。ただし、公園利用者との共存プランをしっかり描くことが不可欠であり、合意形成が整わなければ進展は難しい。


新荒川大橋サッカー場(北区)

候補地は荒川沿いに広がる既存グラウンドで、もともと「サッカー専用」として設計されているため改修のハードルは低い。赤羽や志茂の駅から自転車圏内であり、駐車場も整備済みなので郊外型スタジアムとしての適性も高い。さらにファミリー向けレクリエーション施設と隣接しており、「一日滞在型」の観戦スタイルも描ける点が強みだ。

補足としては、観客席の常設化や照明・ロッカー設備を整えれば、J3クラブの本拠地条件を満たすことも可能となる。荒川の氾濫リスクや堤防設計との兼ね合いについて行政と調整できれば支援を得やすいだろう。ただし駅からはやや距離があるため、シャトルバスなどアクセス改善策をセットで考えることが欠かせない。


塚山公園(杉並区)

候補地は塚山公園内の既存グラウンド拡張案、あるいは廃校跡地との複合活用が想定される。喧騒を離れた自然環境にあり、“癒しの観戦空間”としての希少性があるのが大きな特徴だ。小規模ながら、都心南西部におけるスタジアム空白地帯を埋める立地であり、高井戸や荻窪方面からのバスや自転車でのアクセスも比較的容易である。

補足としては、収容規模を5000~1万人程度に設定すれば女子クラブや地域リーグのホームに最適だろう。自然環境を活かしたエコスタジアム構想や、合宿・フェスなど多目的利用の可能性も広がる。ただし都市計画法上の規制や騒音・交通量への配慮が不可欠であり、地元住民や行政との調整が最大のハードルとなる。


候補地 アクセス利便性 収容可能人数(想定) 周辺施設との相乗効果 建設・改修の実現性 地域貢献性(育成・交流)
新小岩(葛飾区) ◎(JR総武線・徒歩圏) 約1.5万人 ◎(商店街・キャプ翼施設) ○(行政連携可能性あり) ◎(育成拠点+観光融合)
代々木公園(渋谷区) ◎(原宿/渋谷駅近) 1〜2万人 ◎(飲食・観光施設) △(景観・文化財の制限) ○(イベント・観光融合)
平和の森(中野区) ○(中野駅から徒歩圏) 5000〜1万人 ○(住宅街+公共施設) ○(再開発の一環で可能) ◎(学校・地域連携)
新荒川大橋(北区) △(自転車orバス圏) 1万人前後 ○(公園+河川敷) ◎(既存施設の再整備) ○(ファミリー層向け)
塚山公園(杉並区) △(バス+徒歩圏) 5000人前後 ○(自然環境+教育施設) △(都市計画・緑地規制あり) ○(地域密着・自然融合)

まとめ:東京はJリーグ飽和地域じゃない

東京23区には“都市部×集客×地域性”を兼ね備えた候補がいくつも存在する。スタジアムは単なる試合会場ではない。そこから始まるコミュニティと文化が、地域の魅力とともに“次の聖地”として育まれていく。

すでに東京にはFC東京と東京ヴェルディ、町田ゼルビアの3チームがJ1にはいるが、厳密には「23区内の本拠地」を掲げるクラブではない。Jリーグをさらに盛り上げるため、都心に根差した“第4の東京Jクラブ”誕生へ向けて、どのクラブが次に「Jリーグの門を叩く」のか。未来の“東京ダービー”はもっと増えるかもしれない。

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