2025年7月5日、横浜の夜に一つの物語が幕を閉じた。J1第23節、横浜F・マリノスは横浜FCとの“横浜ダービー”を1-0で制し、5試合ぶりの勝利を手にした。この勝利の立役者は、他でもないアンデルソン・ロペス。後半33分、PKを冷静に沈めたその一撃は、彼にとってマリノスでの最後のゴールとなった。
「マリノスは僕のすべて」──別れの言葉に滲む本音
試合後、涙を浮かべながらロペスは語った。「マリノスは僕のすべて。夢をかなえてくれたチームだった」。この日を最後に、彼は移籍準備のためチームを離れることが発表された。移籍先は韓国Kリーグのライオンズ・シティ・セーラーズFCと見られており、クラブとの関係悪化や評価の低下が背景にあると報じられている。
3年半の軌跡──数字が物語る偉大な功績
アンデルソン・ロペスが横浜FMに加入したのは2022年。以降、彼はクラブの攻撃の中心として活躍し、2023年・2024年には2年連続でJ1得点王に輝いた。通算157試合81ゴールという圧倒的な数字は、マリノス史に名を刻むにふさわしいものだ。
特に2022年のJ1リーグ優勝における貢献度は計り知れず、彼のゴールが幾度となくチームを救ってきた。ピッチ上での存在感はもちろん、勝利への執念、そしてサポーターとの絆もまた、彼の魅力だった。

最後の舞台──横浜ダービーでの劇的な幕引き
最下位に沈むマリノスにとって、横浜FCとのダービーはまさに背水の陣。前半はスコアレスで折り返すも、後半33分、MF渡辺の突破から得たPKをロペスが左隅に沈めた。これが決勝点となり、マリノスは5試合ぶりの白星を手にした。
試合後、ロペスはサポーターの元へ駆け寄り、涙ながらに別れを告げた。「このチームで最後の試合を勝利で終えられたのは神様のおかげ。本当に幸せで、感動的な試合だった」と語る姿に、スタジアムは惜別の拍手に包まれた。
未来へ──残されたチームとファンに託した想い
「どこに行ってもマリノスを応援している。こんなチームが降格してはダメだ。選手たちは今までも、これからも全力で戦っている。きっとこの状況から抜け出せると信じている」。ロペスの言葉は、残されたチームとファンへのエールであり、彼のマリノス愛の証だった。
アンデルソン・ロペスというストライカーが残したものは、ゴールだけではない。勝利への執念、クラブへの忠誠、そしてサポーターとの絆。彼の背番号10は、これからも横浜の青い記憶として語り継がれていくだろう。
