欧州を知るストライカー、Jリーグ初上陸
横浜F・マリノスは2025年夏、イスラエル代表FWディーン・ダビドを獲得した。1996年生まれの29歳、身長184cmのストライカーで、武器は決定力と冷静さ、そして巧みなポジショニングにある。
前所属のマッカビ・ハイファでは公式戦128試合で58得点を記録。2024/25シーズンもリーグ戦26試合で13得点と結果を残しており、マリノス加入は即戦力補強として大きな期待を集めている。
データで見るディーン・ダビド(2024/25 前半戦)
イスラエル・プレミアリーグでは26試合で13得点4アシスト、90分あたり0.60得点と高い決定力を示した。加えてアシストも0.18と味方を活かす力も発揮している。
一方で、警告5枚とやや多めである点は注意が必要だ。PK成功率は66.7%と安定感に欠けるが、流れの中でのゴール感覚はリーグ屈指といえる。さらに、ゴールの半分をアウェイで記録しており、環境が変わっても力を発揮できるメンタル面も評価される。
経歴と代表歴
イスラエル南部ネホラ出身。アシュドッドでプロキャリアを始め、マッカビ・ハイファでブレイク。欧州カップ戦ではユベントス相手に得点した経験もある。
2022年からはイスラエル代表に招集され、9試合に出場して1得点を記録。国際舞台での経験は、Jリーグ初挑戦においても大きな強みとなる。
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ディーン・ダビドはアンデルソン・ロペスの代役となれるか?
シーズン後半戦に向けて最大の課題は、アンデルソン・ロペスの穴をどう埋めるかだった。ロペスは横浜FC戦を最後にシンガポールへ移籍し、その代役としてダビドに白羽の矢が立った。
ロペスがポストプレーやフィジカルで違いを作ったのに対し、ダビドは裏抜けやゴール前での位置取りに長けるタイプだ。したがって、縦に速いマリノスのスタイルに合う可能性は高い。
さらにアシストも4つ記録しており、得点だけでなく味方を活かせる力もある。もちろんJリーグ特有の守備強度や夏場の暑さに適応できるかは未知数だが、欧州での実績を考えれば即戦力として計算できるだろう。
外国籍選手7名の壁、ダビドは出場機会を得られるか?
現在マリノスには外国籍選手が7名登録されており、試合ごとに2人はメンバー外となる。
直接のポジション競合は少ないものの、外国籍選手枠を巡る競争は激しい。エウベルやヤン・マテウスといった攻撃陣に加え、今夏加入した谷村との比較も避けられない。
したがって、早期に得点という形でインパクトを残し、出場機会を確保することが最優先課題になる。
得点力と戦術適性、両方で勝負するストライカー
ダビドの最大の武器は得点力と欧州経験だ。マリノスに不足していた「一瞬で決め切る嗅覚」を補える存在として、ロペスの後継に最も近い立場にある。
一方で、外国籍選手枠の制約を考えると、起用され続けるには即インパクトが欠かせない。したがって、中断期間で戦術理解と連係を深められるかが大きな分岐点になる。
結局のところ、ディーン・ダビドの適応と活躍が、マリノスのシーズン後半戦の浮沈を左右することは間違いない。
