コンプライアンス抵触による電撃的な契約解除の発表
アビスパ福岡は2026年1月5日、金明輝監督との契約を1月4日付で解除したことを公式に発表した。解除の直接的な理由は「コンプライアンスに抵触する行為」が確認されたことにある。
もともと2025年11月には、2026年シーズンの続投が一度は公式に発表されていた。だからこそ、キャンプインを控えたこの時期の急転直下の解任は、周囲に大きな衝撃を与えている。
クラブは詳細の公表を現時点で控えているが、複数の違反が確認された事実は極めて重い。現在は本人とクラブ双方の合意により、苦渋の決断として契約解除に至った。
当面の間は塚原真也ヘッドコーチが、暫定的に指揮を執ることが決まっている。
塚原 真也(つかはら しんや)暫定監督の経歴
| 期間 | 指導歴・役職 |
|---|---|
| 2013年5月 | アミティエSC京都 監督就任 |
| 2016年〜 | ヴィッセル神戸 アカデミーにて指導 |
| 2019年12月 | FC大阪 監督就任発表(翌シーズンより指揮) |
| 2022年 | JFL2位となり、FC大阪をJリーグ参入(J3昇格)へ導く |
| 2023年〜 | FC大阪 強化部ダイレクター(S級保持の関係で監督退任) |
| 2024年〜 | アビスパ福岡 トップチームコーチ |
| 2025年〜 | アビスパ福岡 ヘッドコーチ |
| 2026年1月4日〜 | アビスパ福岡 暫定監督 |
出典:
過去のパワハラ問題とS級ライセンス再取得までの経緯
金明輝氏の経歴と契約解除までの流れ
| 年月 | 内容・公式発表 | 出典 |
|---|---|---|
| 2021年12月 | サガン鳥栖監督を退任。Jリーグより計8件のパワハラ行為が認定される | Jリーグ公式 |
| 2022年2月 | JFAよりS級からA級ジェネラルへの降級処分が下る | JFA公式 |
| 2024年4月 | 研修修了を受け、JFAがS級ライセンスの再認定を発表 | JFA公式 |
| 2024年12月 | アビスパ福岡の監督に就任 | クラブ公式 |
| 2026年1月4日 | アビスパ福岡との契約を合意解約(実質的な解任) | クラブ公式 |
| 2026年1月5日 | 「コンプライアンス抵触」による契約解除を一般公表 | クラブ公式 |
金明輝氏は、かつてサガン鳥栖を指揮していた2021年、選手やスタッフに対する暴力行為や暴言がJリーグの調査チームによって認定された。この際、前髪が長い選手への平手打ちや、人格を否定するような暴言など計8件の暴力行為が報告されている。
この問題を受け、金氏は2021年12月に鳥栖の監督を退任し、JFA公認S級コーチライセンスからA級ジェネラルへの降級処分を受けた。その後、金氏は日本サッカー協会(JFA)が提供する特別研修プログラムや社会貢献活動に従事した。
こうした一連の姿勢が評価され、2024年にS級ライセンスを再取得した。そして同年12月、満を持してアビスパ福岡の監督に就任している。だが、再起を誓った舞台からわずか1年あまりで、再び職を辞する事態となった。
指導現場のひずみと他クラブでの動向が落とした影
今回の電撃退任の背景には、いくつかの不可解な点が浮かび上がっている。特に注目すべきは、金氏がヘッドコーチを務めていたFC町田ゼルビア時代の動向だ。最近では町田の黒田剛監督に関する報道が活発化しており、その波紋が広がっている。
その精査の過程において、コーチ時代の金氏の言動が改めて問題視された可能性は否定できない。もちろん、これは推察の域を出ない。しかし、再取得したライセンスの正当性が問われる事態になれば、クラブも静観はできなかったはずだ。
一方で、アビスパ福岡の指導現場で新たな問題が発生した可能性も、構造上排除はできないだろう。一度立ち止まって考えると、今オフのチーム状況は明らかに異様な空気に包まれていた。
主力選手の大量流出と内部編成に生じていたひずみ
| 日付 | 選手名 | 移籍先 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2026/1/2 | 小田 逸稀 | 松本山雅FC | 完全移籍 |
| 2026/1/2 | 永石 拓海 | 徳島ヴォルティス | 期限付き移籍 |
| 2026/1/1 | 安藤 智哉 | ザンクト・パウリ | 完全移籍 |
| 2025/12/26 | 村上 昌謙 | 京都サンガF.C. | 完全移籍 |
| 2025/12/25 | 岩崎 悠人 | V・ファーレン長崎 | 完全移籍 |
| 2025/12/17 | 紺野 和也 | 川崎フロンターレ | 完全移籍 |
| 2025/11/30 | ウェリントン | 未定 | 契約満了 |
※画像データを基に作成。出典:報道各社(2026-01-05)
今季の福岡からは、屋台骨を支えてきた主力選手の流出が相次いで発表されている。だからこそ、現場の統率において何らかの支障が出ていたと推察するのが自然だ。数字だけでは見えない内部の違和感が、編成の段階から既に芽生えていたと映る。
戦力編成の難航は、水面下で進行していたコンプライアンス調査の影響だったのかもしれない。そう考えると、キャンプ目前という異例のタイミングでの解任も、クラブにとっては「必然」だった。ピッチ外の騒動が静まるのを待つ余裕は、今のチームには残されていない。
激震のアビスパ福岡が踏み出す新たな再生への一歩
今回の決定は、単なる監督解任に留まらない。一度は再起を認めた日本サッカー界のガバナンスそのものが、再び問い直されることになりそうだ。クラブは今後、信頼回復のためにさらなる説明責任を果たす必要があるだろう。
始動直後の電撃退任は、今シーズンの戦い方に大きな影を落とす。しかし、立ち止まっている時間はない。今後は残された選手たちが、この大きな動揺を乗り越えてどのように立ち上がるか。
激震に見舞われたアビスパ福岡が、ピッチの上でどのような変化を見せるかに視線を残したい。混沌とした状況の中で、新しい指揮官の下での再構築がどのような形を結ぶのか。その第一歩は、すぐ目の前に迫っている。
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