【3分で読める】飯倉大樹の全て|横浜F・マリノスを体現する攻撃的GK

基本プロフィール

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横浜F・マリノスのゴールを長年支えてきた飯倉大樹。派手なセービングよりも、失点を防ぐための判断と準備で評価されてきたゴールキーパーだ。

攻撃的なサッカーを志向するチームにおいて、最後尾からリスクを引き受ける存在でもある。

飯倉大樹は1986年6月1日生まれ。

横浜F・マリノス下部組織出身のGKで、身長181cm、体重75kg。

突出した体格ではないが、広い守備範囲と足元の技術を武器とする。最終ライン全体を見渡しながら、試合を安定させるタイプのゴールキーパーだ。


下部組織育成と松永成立との師弟関係

在籍期間 クラブ 出場(リーグ戦)
2005–2019 横浜F・マリノス 225
2006 ロアッソ熊本(期限付き) 26
2019–2022 ヴィッセル神戸 63
2023– 横浜F・マリノス 27
通算 389

※国内リーグ戦に限る

飯倉はプライマリーからユースまで、マリノス一筋で育った生え抜きである。プロ入り後はロッソ熊本(現ロアッソ熊本)への期限付き移籍を経験し、実戦の中で守護神としての基礎を固めていった。

一方で、その成長を語るうえで欠かせないのが、GKコーチ松永成立の存在だ。松永の指導は非常に厳しく、飯倉自身も「辞めたいと思った」と語っている。

しかし、その厳しさは期待の裏返しだった。衝突を繰り返しながらも、飯倉は守護神としての覚悟と精神力を身につけていった。


攻撃的守護神としての確立

シーズン クラブ 出場 先発
2015 横浜F・マリノス 25 25
2016 横浜F・マリノス 12 12
2017 横浜F・マリノス 34 34
2018 横浜F・マリノス 34 34
2019 横浜F・マリノス 5 5
2019 ヴィッセル神戸 12 12
2020 ヴィッセル神戸 18 18
2021 ヴィッセル神戸 19 18
2022 ヴィッセル神戸 14 14
2023 横浜F・マリノス 6 5
2024 横浜F・マリノス 12 11
2025 横浜F・マリノス 9 9

※リーグ戦成績。シーズン途中は暫定値

大きな転機となったのが、ポステコグルー監督時代である。超攻撃的なスタイルを採用する中で、GKの役割は大きく変化した。

飯倉はペナルティエリアを越えてプレーエリアを広げ、DFラインの背後をカバーする役割を担った。さらに、ビルドアップの起点としての役割も求められた。

足元の技術と判断力を生かし、後方から攻撃を組み立てる存在となる。このスタイルはリスクと隣り合わせだが、飯倉は一切引かなかった。その姿勢が、マリノスの攻撃的サッカーを成立させていた。


ヴィッセル神戸での挑戦と初タイトル

2019年夏、飯倉大樹はヴィッセル神戸へ完全移籍する。「マリノスで引退すると思っていた」と語るほど、覚悟のいる決断だった。

出場機会を求め、新たな環境に身を置くことを選んだ。神戸では競争の中でプレーを重ね、天皇杯優勝を経験する。これはクラブにとって初の主要タイトルだった。

異なるチーム文化に触れたことで、ベテランとしての振る舞いも磨かれた。勝者のメンタリティを身につけた時間でもあった。


マリノス復帰とベテランの役割

2023年2月、高丘陽平の海外移籍に伴い、飯倉は横浜F・マリノスへ復帰する。緊急補強という形だったが、「家に戻ってきた」という言葉が象徴的だった。

復帰後は他クラブから移籍してきた中堅GKたちとポジションを争う立場となる。一方で、ピッチ外では精神的支柱としての役割も担った。

試合に出場すれば、全盛期と変わらぬ判断力とパスワークを披露する。攻撃の起点として、今もチームを支え続けている。


プレースタイルと「飯倉チャレンジ」

飯倉大樹の代名詞が、通称「飯倉チャレンジ」だ。GKでありながら高い位置を取り、積極的にプレーへ関与する。

ペナルティエリアに留まらず、最終ラインの背後まで守備範囲を広げる姿勢が特徴である。この判断は常に大きなリスクを伴う。一歩の判断が遅れれば、即失点につながりかねない。

それでも飯倉は引かない。横浜F・マリノスの高いDFラインを維持するため、最後尾で勇気ある選択を続けてきた。

また、足元の技術もこのスタイルを支えている。相手のプレスを受けながらも、冷静にパスコースを選択する。GKという枠を超え、ビルドアップの一部として機能する存在だ。

さらに、感情を前面に出すリーダーシップも見逃せない。味方の好プレーには誰よりも大きく反応し、集中を欠いた場面では厳しい声を飛ばす。その振る舞いが、ピッチ全体の緊張感を保っている。


戦術としての飯倉大樹

飯倉大樹は、単なるゴールキーパーではない。横浜F・マリノスの攻撃的サッカーを成立させる、重要な戦術要素の一つだ。

育成組織で培ったクラブ理解が、ポジショニングや判断に一貫性を与えてきた。そして松永成立との師弟関係は、守護神としての覚悟と責任感を植え付けた。

さらに、ヴィッセル神戸での経験が、勝者としての視点とベテランの落ち着きをもたらした。それら全てが、現在の飯倉大樹を形作っている。

出場機会の有無にかかわらず、最後尾からチームを支える姿勢は変わらない。リスクを恐れず、戦術を引き受ける存在。飯倉大樹は今も、横浜F・マリノスの「戦術」としてピッチに立ち続けている。


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