J1基準の未来型スタジアムが“想定外の街”で始動
J3リーグ所属のSC相模原が、将来的なJ2・J1昇格を見据えた新スタジアム構想を本格化させた。2025年6月30日、クラブはJリーグへ施設整備計画書を提出。その中には、神奈川県海老名市内を候補地とする収容人員1万5,000人超のスタジアム建設計画が盛り込まれている。
現本拠の相模原ギオンスタジアムは収容規模や設備面でJ1ライセンス取得条件を満たしていない。そのため、新スタジアムはアクセス、観客動員、商業施設併設の観点からも“クラブの命運を左右するプロジェクト”と位置づけられる。
計画ではサッカー専用ではなく、多目的利用を想定。スポーツイベントだけでなく、地域交流やエンタメイベントなど、多様な活用を見据えている点が特徴だ。
規模はJ1基準を満たす1.5万人規模で、Jリーグ規定上の最大カテゴリーにも対応可能。運営会社「スポーツクラブ相模原」は、海老名市との協議を進めながら複数候補地の絞り込みを行っている。
クラブの成長戦略において、新スタジアムは単なるホームではなく“地域の未来を形作る拠点”となることが期待される。
なぜ“あの街”なのか──海老名という選択
神奈川県のほぼ中央に位置する海老名市は、都心や横浜からのアクセスに優れる。小田急線・相鉄線・JR相模線の3路線が交わる交通の要衝であり、駅前には「ビナウォーク」や「ららぽーと海老名」といった大型商業施設も立地する。再開発が進むなかで人口は増加を続けている。
観光地や歓楽街としてのイメージは薄い。しかし「生活都市としての完成度の高さ」と「さらなる開発余地のバランス」を兼ね備えており、スポーツ施設の立地としては極めて優秀だといえる。
さらに、相模原・厚木・座間・綾瀬といった周辺自治体とも連携が取りやすい。広域ホームタウン構想を描くうえで、海老名は中核都市として十分なポテンシャルを秘めている。
X(旧Twitter)上では神奈川新聞カナロコの報道を受け、多くのファン・サポーターの間で議論が巻き起こっている。
「SC相模原が海老名市内を候補地とするスタジアム整備計画をJリーグに提出 規模はJ1基準も満たす1万5千席以上の多目的スタジアム」(引用元:カナロコ【公式】@KanalocoLocal)
ホームタウン政策とJリーグ基準──新計画が示す未来
クラブ公式からの詳細発表は今後になる見通しだ。ただし、相模原市外での新スタジアム構想は、ホームタウンポリシーの観点から議論の余地を残している。
一方で、Jリーグのスタジアム基準は近年厳格化が進んでいる。J1ライセンス取得には照明や屋根、アクセス、VIP席、メディア対応など多岐にわたる条件をクリアする必要がある。今回の新計画は、それらを一気に解決する野心的な一手といえる。
さらに、この構想は「都心回帰」ではなく「神奈川南部への集中」を意味する。J3に所属するSC相模原が打ち出した挑戦は、将来的に他クラブのモデルケースとなる可能性を秘めている。

コメント