日本の大学サッカーが欧州に通じる時代へ:内野航太郎の挑戦

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「日本市場は魅力的」—ブレンビー移籍で注目の内野航太郎、その素顔と挑戦

2025年夏、デンマークの名門ブレンビーIFが獲得した日本人FW・**内野航太郎(21歳)**が、欧州サッカー界で静かな注目を集めている。
横浜F・マリノスのユース出身で、筑波大学を経てプロ契約を結ぶことなく海外へ。移籍金ゼロという条件ながら、クラブ関係者が「日本市場は魅力的」と語るように、そのポテンシャルは計り知れない。

内野航太郎の成長曲線

まず注目すべきは、内野の歩んできた育成の軌跡だ。
横浜F・マリノスのジュニアユースからユースへと進み、さらに筑波大学へ進学。
大学では1年目からレギュラーに定着し、関東大学リーグ・プレミアEASTで歴代最多得点記録を更新するなど、早くから得点力の高さを示した。

さらに、2024年のU-23アジアカップでは大学生として唯一選出され、代表戦でもゴールを記録。
こうした活躍が欧州クラブのスカウト陣の目に留まり、今回のブレンビー移籍へと結びついた。

187cmという長身を活かしたポストプレーや空中戦の強さはもちろん、
足元の技術も高く、裏への抜け出しや味方との連携にも長けている。
とりわけゴール前での冷静さと決定力は際立ち、大学時代には「決定力の鬼」と称されるほどだった。

大学から直接海外へ——新たなルートの象徴


一方で、内野のキャリアが注目を集めるのは、Jリーグを経由せず大学から直接海外へ渡った点にもある。これは近年、確実に増えている流れだ。
実際に、以下のような選手たちがその先駆けとなってきた。

  • 平山相太(筑波大学 → ヘラクレス/オランダ)
    高校時代から“怪物”と称され、大学を中退してオランダへ。フィジカルと得点力で注目を集めた。
  • 林彰洋(流通経済大学 → プリマス・アーガイル/イングランド)
    大学在学中にイングランドへ渡り、ゴールキーパーとして欧州での経験を積んだ。
  • 長澤和輝(専修大学 → 1.FCケルン/ドイツ)
    大学卒業後にブンデスリーガへ。中盤の潰し役として評価され、のちに浦和レッズでも活躍。
  • 佐藤恵允(明治大学 → ブレーメン/ドイツ)
    2023年に移籍。大学サッカーでの実績とU-22代表での活躍が評価され、ブンデスリーガへステップアップ。

このように、大学を経由した選手が欧州へ挑戦するケースは確実に増加している。共通するのは、大学サッカーを通じてフィジカル・戦術理解・メンタル面を成熟させた点だ。したがって、内野のブレンビー移籍はその“新しい潮流”を象徴する存在といえる。


ブレンビーでの期待と今後

ブレンビーはデンマークリーグ屈指の名門であり、若手育成にも定評がある。内野にとっては、欧州でのキャでは、そんな内野を迎えたブレンビーとはどんなクラブなのか。ブレンビーIFは、デンマーク・スーペルリーガを代表する名門であり、国内最多クラスのタイトル数を誇る伝統クラブだ。

近年は特に若手育成と再販モデルに力を入れており、北欧諸国だけでなく、日本市場にも本格的にスカウト網を拡大している。クラブ関係者はこう語る。

「日本の選手は技術が高く、規律がある。市場としても今後さらに注目していく。」

この方針のもと、内野の加入はまさに“次世代型スカウティング”の一例といえる。ただし、ポジション争いは激しく、即戦力としての期待よりも長期的な成長への投資として見られている。初年度はリザーブチームを中心に実戦経験を積み、フィジカルとスピードが求められる北欧サッカーへの適応が第一目標。そして、2026年シーズン以降のトップチーム定着が現実的なステップとなるだろう。リアをスタートさせるには理想的な環境だ。クラブ側も「日本市場は技術的に優れた選手が多く、マーケティング的にも魅力的」と語っており、内野の成功は今後の日本人選手の欧州進出にとっても大きな意味を持つ。


欧州挑戦の意義と今後の展望

もちろん、Jリーグを経由せずに海外へ挑むことにはリスクもある。
しかし一方で、それを上回るほどのリターンもある。実際、近年では佐藤恵允(ブレーメン)や細谷真大(フェイエノールト)といった“大学・国内経由からの欧州挑戦組”が成果を出し始めている。

つまり、かつては例外的だった「大学→海外」のルートが、いまや新たな常識になりつつあるのだ。
内野のケースはまさにその象徴であり、ブレンビーでの活躍次第では、スカンジナビアを経由して五大リーグへのステップアップも十分に視野に入る。

何より、彼の強みは「勝ち取る力」と「継続的な成長力」。ブレンビーでのキャリアを通じて、それがどこまで磨かれていくのか——。日本サッカー界が注視する価値のある挑戦である。

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